福岡高等裁判所 昭和24年(つ)1200号 判決 1949年12月16日
被告人
朴元祚
主文
原判決を破棄する。
被告人を懲役一年及び罰金三万円に処する。
但し、本裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納することができないときは、金二百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
次に点数の不一致の点は実は原判決が判示第一、第二の事実について示した証拠、殊に領置調書の記載等を判示第三の事実について示した証拠を綜合して見ると、被告人の買受物件は前示草場方から窃取に係る物品の内の衣類三十点と自轉車一台である(即ち第二の(一)に判示された通り)と思われるのであるが、被告人に対しては、檢察官も此点数の点について起訴状の訂正追加等を行わなかつた爲、原審は起訴状の記載に従つて被告人の利益の爲内輪に認定したのに過ぎないのであろう。公判審理の結果、殊に証拠調の結果、犯罪に係る物品の点数が起訴状と相違する事実が明かとなつたならば、檢察官をしてその点についての起訴状の訂正を爲さしめるのがもとより適当であるけれども、本件の樣な賍物を一括して買受けた場合に於ける物件の点数の些少の相違の如きは(犯情にはいくらか影響があるとしても)犯罪の個数や成否には何等影響しないことであるからして裁判所は必ずしも起訴状に拘束されることなく証拠に基いて点数を認定すべきであり、殊に共同被告人について共通の事物については双方矛盾なく一致した認定を爲すのが至当である。
〔註〕 本件は量刑不当にて破棄自判。